要介護高齢者に対する制度政策の変遷内容をまとめ、現状の課題等について述べなさい。
日本で最初の救貧事業は、1874年に制定された恤救規則である。恤救規則は人民相互の情誼に基づき、相互扶助的に助け合うことを前提としており、国に国民の救済の義務はなく、天皇の慈悲により、慈恵的に行うものであることが強調されており、高齢者の救済対象は、70歳以上の病弱者と限定されていた。
1912年、立憲国民党の福本誠が、貧困層の拡大と、貧困家庭の老親扶養が困難であること、さらに窮老者の餓死自殺者数の増加などを理由に、第28議会に「養老法案」を提出したが、廃案となりその後、昭和38年(1963年)に「老人福祉法」が施行されるまで、高齢者に関する法案はできなかった。
その後1929年に制定された救護法では、高齢者の救済対象者が65歳以上に引き下げられた。また、国に国民の救済責任を認める内容であった点が恤救規則と大きく異なるが、労働能力があるとみなされたものは対象から除外され、十分なものとはいえず、依然として家族や隣保相扶にも扶助されない貧困高齢者が多く存在していた。
第2次世界大戦終結と同時に、連合国軍最...