日本国憲法における自由権について網羅的に論じよ。特に精神的自由については裁判例を引用して論じること。
1.はじめに
日本国憲法の基本原理は①国民主権、②平和主義、③基本的人権の保障である。このうち基本的人権については、「侵すことのできない永久の権利」(第11条)としてすべての国民に保障されており、自由権、社会権、平等権などの権利が保障されている。中でも自由権は、国家権力の介入や干渉を排除して、国民の自由を確保する権利であり、①精神的自由、②人身の自由、③経済的自由の3つに分類される。
以下、自由権のそれぞれについて述べる。
2精神的自由について
精神的自由は、思想の自由や言論の自由を含むもので、さまざまな範疇があるが、すべての人間の内面の自由(内面的精神活動の自由)と、それを外部に表す自由(外面的精神活動の自由)がある。
内面的精神活動の自由については、「思想及び良心の自由はこれを侵してはならない」(第19条)、「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない」(第20条)とあるように、人が何を考え、何を信じるかといった人間の内面的作用が無制限に保障され、それが...