作家作品研究中世課題2

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    『宇治拾遺物語』には、同様の説話を収めた説話集がいくつかあるが、九巻第六話「歌読テ被免罪事」と『今昔物語』二四巻第五五話「大隅の国の郡司、和歌を読む語」とを比較してみる。まず、書き出しだが、両者とも「今は昔」と共通している。あらすじは両者とも、大隅の守が、政務をしている間に、郡司の一人が職務に怠慢なところがあり、何度か叱責したところ、改善が見られないので、重い罰を与えようと呼び出したところ、白髪の老人だったので、許すつもりになったが、口実が見つからない。そこで、老人に歌は詠えるかと尋ねたところ、見事な歌を歌ったので、許した。というものである。細かい語の差異は見られるが、内容において顕著に異なる点は見当たらない。しかし、結びの部分に大きな相違点があるように思える。「歌読テ被免罪事」の場合は、

      人はいかにもなさけはあるべし。

    で終わっているのに対し、「大隅の国の郡司、和歌を読む語」は、

      然れば、云ふ甲斐無き下臈の田舎人の中にも、此く歌讀む者も有るなりけり。努々蔑るべからずとなむ、語り傳へたるとや。

    で終わっているのである。前者の場合は、「な

    さけ」とは風流のことであり、人...

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