『宇治拾遺物語』「序」について考えてみたい。「序」の作者は不明であるが、「序」の成立自体には三つの説がある。一つ目は、『宇治拾遺物語』成立から間もない時期に、何者かによって書かれたというものである。「序」は、この物語の成立過程と、名称の由来について記したものであるが、
大納言の物語にもれたるをひろふあつめ、又、
その後の事などかきあつめたるなるべし、
と、その成立について推量しており、さらに、
宇治にのこれるを拾ふとつけたるにや、また侍従を拾遺といへば、宇治拾遺物語といへるにや、差別しりがたし、
と結びにあり、名称の由来は不明であるとしている。このような記述と、源隆国や、俊賢に関する記述に誤りがないことから、この説が唱えられている。二つ目は、『宇治拾遺物語』の編者「序」の作者が同一人物であるとするものである。三つ目は、「序」は内容的に序文の体裁を整えていないことなどを理由に挙げ「序」は後世の人によりかかれたものであるとしているものである。三つの説の中では一つ目がもっとも有力とされているが、残りの二つも否定しきるほどの根拠は無い。私は、二の可能性について考えてみたい。
まず、...