判例法主義とは何か
判例法主義とは、具体的事件における裁判所の判決に法的拘束力を認め、それを第一次的な法源とし、判例法を補完する制定法を第2次法源とする法体制のことである。
判例法主義が確立される為の要件として、①裁判所の確立②法曹養成機関の存在③判例集の刊行が挙げられる。
判例法主義では、判決は、その内に実体的、または手続的な瑕疵を秘めていても、一応は法的な権威が与えられている。
ここで言う「法的な権威」は、例えば、民事事件の解決は、社会における価値体系と整合するもので無ければならないとする「価値体系整合性」と、判決の果たす機能として既存の法律構成に従い、法的安定性を担保するという「法律構成整合性」の2つの上に立つ。 価値体系整合性を判例の権威の実質的基礎として考え、法律構成整合性を形式的基礎として考えることができる。
先例拘束性の原理
判例法主義の下では、裁判所によって具体的事件についてなされた法的判断は、その後の同種の事件に対して、裁判官の判断を法的に拘束する。この理論が先例拘束性の原理である。但し、例外として、先例に制定法の適用違反があっ...