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1
1.1 問題
次の回路の熱雑音について説明せよ。
Fig.1 RCフィルター
1.2 解法
抵抗が持つ熱雑音のモデルを次のように定義する。
Fig.2抵抗の熱雑音のモデル
抵抗の持つ熱雑音源を電源 Vn 1 として扱うことにする。次に、
このモデル Fig.1に当てはめてみると、次のようになる。
Fig.3抵抗のモデルに熱雑音を考慮した RC フィルター
今回、出力として扱われるのは、点 6 の位置であるので、この
位置での熱雑音を計算する。抵抗が二つあるため、熱雑音源(電
源)が二つある。重ね合わせの理より、Vn 1 のみで考えると、
I32 = I21 + I24 (
熱雑音
― 熱雑音の算出 ―
増成伸一
平成 21 年 6 月 9 日
1
熱雑音
1.1
問題
次の回路の熱雑音について説明せよ。
C1
Vin
2
R2
1
(1)
Vn1 − R1 I32 − α1 I21 = 0
(2)
Vn1 − R1 I12 − (R2 + α2 )I24 = 0
(3)
Vout1 = α2 I24
(4)
6 Vout
4
R1
I32 = I21 + I24
1
とする。また、電流についてはサ
と表すことができる。αi = jωC
i
フィックスを各経路として表している。式 (1)〜(3) を整理すると、
C2
3
5
Fig.1 RC フィルター
1
R1
−1
0
R1
R2 + α2
−1 I32 0
α1
I24 = Vn1
0
I21
Vn1
上式を次のように表す。
AI = B
1.2
解法
(5)
I24 のみを求めればよいので、クラメルの式を使う。そのため
抵抗が持つ熱雑音のモデルを次のように定義する。
に、まず |A| を求めると
|A|
R1
R1
=
1
R1
−1
0
−1
α1
R1
R2 + α2
0
第 1 行で展開すると、
Vn1
Fig.2 抵抗の熱雑音のモデル
|A| = −α1 (R2 + α2 ) − R1 α1 − R1 (R2 + α2 )
クラメルの式より、
1
|A|I24 = R1
R1
抵抗の持つ熱雑音源を電源 Vn1 として扱うことにする。次に、
このモデル Fig.1 に当てはめてみると、次のようになる。
0
Vn1
Vn1
−1
α1
0
右辺を第 1 行で展開すると
Vn2
Vin
R2
6 Vout
2
1
4
C1
R1
|A|I24
= −α1 Vn1
|A|Vout1
= −α1 α2 Vn1
C2
伝達関数は
Vn1
3
5
Fig.3 抵抗のモデルに熱雑音を考慮した RC フィルター
Vout1
Vn1
=
=
=
今回、出力として扱われるのは、点 6 の位置であるので、この
位置での熱雑音を計算する。抵抗が二つあるため、熱雑音源(電
源)が二つある。重ね合わせの理より、Vn1 のみで考えると、
=
−α1 α2
|A|
α1 α2
α1 (R2 + α2 ) + R1 α1 + R1 (R2 + α2 )
α1 α2
α1 α2 + α1 R2 + α1 R1 + α2 R1 + R1 R2
1
(1/R1 R2 C1 C2 ) + s(1/R1 C1 + 1/R2 C2 + 1/R2 C1 ) + s2
次に、熱雑音 Vn2 について解くと
Vout2
Vn2
=
=
α2
R 2 + α2
1/(R2 C2 )
s + 1/(R2 C2 )
(6)
(7)
したがって、熱雑音の影響の式は
Vout = Vout1 + Vout2
(8)
ここで、回路の定数を下記の T.F.2 のように決める。
T.F. 1
T.F. 2
Table.1 Constant Number
R1[ohm]
R2[ohm] C1[uF]
10000
27
0.0226
10000
27000
0.0226
C2[pF]
1
1000
上記のような定数を設定したときの Vout1 /Vn1 、Vout2 /Vn2 のグ
20 log ( Vout i / Vni ) [dB]
ラフを示すと、
0
i=1
i=2
-100
-200 1
10
102
103
104
Freqency [Hz]
上記定数のように決めたときに、Vout1 /Vn1 は Vout2 /Vn2 に比べ
て十分小さいので、熱源 Vn1 は無視することができる。したがっ
て、熱源 Vn2 のみを考えれば良い。ジョンソン・ノイズの式より
Vn2 =
√
4kT R∆f
k : ボルツマン定数 1.380 × 10−23 [J/K]
T : 絶対温度 [K]
R : 抵抗値 [Ω]
∆f : 帯域幅 [Hz]
定数をそれぞれ T = 300[K]、R = 27[kΩ] とすると
V
√ n2
∆f
=
√
4kRT
√
= 2.114 × 10−8 [V / Hz]
(9)