「道徳教育の要である道徳の時間を、児童の心に響くとともに主題のねらいを達成する学習指導の構想を述べよ。」
1.はじめに
道徳性とは、人間としての本来的な在り方やよりよい生き方を目指してなされる道徳的行為を可能にする人格的特性であり、人格の基盤をなすものである。構成要素としては、道徳的心情、道徳的判断力、道徳的実践意欲と態度があげられ、その概念は、「本来的な在り方」や「よさ」など価値的に捉えられ、それゆえ望ましいものとされるが、人間は生まれながらにこの道徳性を身につけているわけではなく、人間社会におけるさまざまな経験を通して形成されていくものである。今日の道徳教育においては、①「道徳的価値の自覚を深めること」②「よりよく生きる力を引き出すこと」、③「かかわりを豊かにすること」、などがあげられている。
2.道徳教育改訂の経緯・要点について
今回の学習指導要領の改訂における道徳教育の改善についての基本的な観点は次のとおりである。
(1)改正教育基本法等の趣旨と道徳教育
今後の教育において重視すべき理念として、従来から規定されている個人の価値の尊重、正義、責任などに加え、新たに...