リカードが「経済学および課税の原理」のなかで展開した理論で、国際貿易が行われる原理、すなわちなぜ貿易が行われるのか、どのような製品が輸出されるのかが初めて理論的に説明された。生産要素が国際移動できないときに、各国の各産業の生産費比率でみて低いことが決定要因とし、1国が絶対生産費では2財とも劣位であっても、劣り方の少ない財の生産を分担し、優位である国は優位の差が大きい財の生産に特化すれば、両国の経済効率は高まるという考え方である。この考え方で最も重要なのは、他国との絶対的な生産力の差ではなく、自国内の産業間の生産力の差がカギを握っているという点である。
次にリカード理論のその後の主要な理論の展開として説明する。
まず、リカードの理論の基礎である生産に参加する要因が労働だけで正しいのかという、労働価値説への批判として、実質費用説とか機会費用説という考えが出てきた。さらに、リカード理論は財の交換比率がどのくらいの割合で決定されているかなどについても論じられておらず、この限界に対しては、J.Sミルの相互需要均等の原理という考え方が現れてくる。
次に、生産要素と比較優位との関連を貿易理論に...