商法(商行為法)
第1課題 X会社は、Aを代理人としてX会社の取り扱う在庫商品の処分を依頼した。Aは、Yに本商品を売却したが、その際、AはX会社のために売却することを示さず、Yもその事情を知らなかった。本売却に基づき、X会社は、Yに代金を請求した。YがAに対する貸金債権を有している場合、Yは、Aに対する貸金債権と相殺することにより、自らの債務の消滅を主張することができるか。
1、本課題において、AはX会社の代理人としてY会社と売買契約を行っているが、その際、AはX会社のために売却することを示していない。このような法律行為の代理について民法は、代理人が本人のためにすることを示して意思表示しなければ、本人に対して効果が生じないとする顕名主義の原則を採用している(民法99条1項)。一方、商法においては、商法504条で民法の顕名主義が修正され、商行為の代理人が本人のためにすることを示さなくても、その行為は本人に対して効果を生じるとされている。
商法が非顕名主義を原則としているのは、営業主が商業使用人などを使用して大量的かつ継続的に取引を行うのが通常である商取引においては、本人の名を個々の取引...