『「四つの四重奏曲」について、
あるテーマを選んで論述せよ。
内容にふさわしいタイトルを付すこと。』
「永遠性への到達」
T.S.エリオットの生涯における最高傑作『四つの四重奏曲』は、「バーント・ノートン」(1936)、「イースト・コーカー」(1940)、「ザ・ドライ・サルヴェイジズ」(1941)、「リトル・ギディング」(1942)の4篇で構成されており、時の克服と永遠性の到達をテーマとしている。4作品の背景には、その順番に「風」「地」「水」「火」という象徴の元素が暗示されており、各標題に表される場所の情景描写を基盤とし、エリオット独特の哲学的および宗教的世界観をもって、「時」の思想が描かれている。
「バーント・ノートン」の由来は、エリオット自身も度々訪問したことのある、イングランド南西部の荘園である。第一楽章では、バラ園、ツグミ、精霊などの明るい題材が登場し、詩人に望郷の喜びを感じさせる。詩中に現れる「過去と現在は未来に含まれ、その未来も過去に含まれる」という矛盾ともとれる時の捉え方は、詩人の時の概念への深慮がうかがえる。究極的には、過去も未来も所詮は同じもので、常に存在する「...