1. はじめに
保険とは、確率計算を応用した所得再分配のための社会経済的制度である。経済的保障を提供する保険の仕組み・構成と、保険の役割・効用について、下記のキーワードに沿って述べる。
キーワード:給付・反対給付均等の原則、平準保険料、経済的保障機能、金融機能
2. 保険の仕組み
保険は、技術的には偶然性を有する事象や不確実な事象について、多くの事例を観察し、その結果を統計的に処理して、得られたこれらの事象が発生する確率を基礎にして成り立っている。同質性・共通性・類似性を有する多くの人間や事物に対して、特定の事象が発生する状況を観察すると、その事象が発生する経験的確率を見いだすことができる。これを「大数の法則」というが、保険はこの大数の法則を応用した仕組みである。よって保険では、基本的に加入者が多いほど、保険の対象になっている保険事故が発生する確率を正確に把握することができ、その技術的な基礎が強固となる。
保険の技術的な仕組みはP=wZという数式で示すことができ、これは「給付・反対給付均等の原則」と呼ばれる。Pは保険料、wは保険事故発生の確率、Zは保険金を表し、保険料(保険を通...