『学力低下とは何かを明らかにし、社会階層のような社会的不平等と学力がどのような関わりをもつのかについて述べよ。』
今日、学力低下に関する議論が盛んであることは周知の事実である。そもそも学力低下という問題自体は昔から様々な形でくり返し議論されてきた。大学生に限ってみれば、以前から学力が低下しているという議論は存在し、学力低下と関連付けて大学レジャーランド論、青年総休暇村論、高等保育園論などが論じられたり、また世代論と関連付けて「新制大学・駅弁大学の卒業生は・・・・・・」、「全共闘世代は・・・・・・」、「共通一次世代は・・・・・・」と論じられたり、さらに新しい世代は「こんなこともできない、あんなこともできない」と論じられたりした。
しかし今日展開されているような議論は、過去の議論とは明らかに質が異なる。それは、小掘圭一郎が指摘するように、新しい世代の学力が前の世代の学力に及ばないという縮小再生産の過程が始まったのではないかという疑問があるところに深刻な問題がある。さらには、「学ぶ」、「勉強する」ということに対する価値付けの低下である。学習する習慣のない学生が急増しているのである。つまり...