『ジョン・ロックにおける子どもの教育論、特に習慣形成や賞罰法を中心に述べよ。』
まずは、タブラ・ラサ(精神白紙説)説について説明する。タブラ・ラサとは、心の中には生まれながらに刻みつけられた観念や原理などはないという考えのことである。この考えによると、子どもは生まれた時はまだ何の観念も持っていないということになる。では、どのようにして心は観念を備えるようになるのであろうか。それに対して、ロックは一言で経験からと答えている。つまり、子どもは成長するにつれて、教育によってさまざまな観念を獲得するようになるのであり、これは経験主義的な考えと言える。
ロックは子どもの教育は、まず感覚的訓練からはじめるよう主張する。感覚によって一つ一つの対象についてわれわれの心の中に観念が起こり、さまざまな知識が得られる。例えば、どんな色であるか、暑いか寒いか、どんな味か、どんな臭いか、どんな形であるかなど感覚を通じて知覚し、それらについての知識や観念が得られる。つまり、感覚を通してさまざまな知識や観念が真っ白な心の中に入るのである。そしてその知識と観念を記憶し、一つ一つの名前を教わる。このような過程を経て...