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1.目的
ヒトの細胞の約16%(重量の割合)はタンパク質であり、細胞の構成成分として
水に次ぐ大きな割合を占めている。タンパク質は、触媒、情報伝達、物質輸送、運
動、生体防御、情報受容、細胞構造形成など、生命維持のための主要な役割を果た
している。酵素は、触媒機能を有するタンパク質の総称であり、生体内で起こる化
学反応のほとんど全てを触媒する。生体は非常に多くの種類の物質から構成されて
おり、タンパク質だけでも数万種類存在する。従って、ある特定のタンパク質につ
いての研究を行ったり、ある特定のタンパク質を医薬品などに利用するためには、
目的のタンパク質を他の物質から分離する必要がある。生体を構成する物質を分離
する方法には、分子の大きさの違いを利用するもの(サイズ排除クロマトグラフィ
ー)、分子の電荷の違いを利用するもの(イオン交換クロマトグラフィー)など様々
な方法がある。
ここでは、ヘモグロビンとビタミンB12を分子の大きさの違いによる分離する実
験を行い、タンパク質や生体成分の分離法の原理についての初歩的知識をえること
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