糖尿病患者の看護
Ⅰ 食事療法に伴う看護
糖尿病とは、インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である。インスリン作用不足の機序には、インスリンが作用する標的臓器(骨格筋、脂肪、末梢組織、肝臓など)における感受性の低下(インスリン抵抗性)と、膵β細胞から分泌されるインスリン分泌の低下(インスリン分泌不全)が考えられている。
そこで糖尿病の治療では、インスリンの需要を減らすことと、インスリン抵抗性を改善することが基本となる。食事療法は、インスリンの需要を軽減する効果をもつ。また適切な食事療法は、糖尿病のタイプ、薬物療法の必要性の有無、合併症の有無にかかわらず、すべての糖尿病患者に重要である。
また食事療法の基本は、単に血糖を調整するためだけのものではなく、健康な人と変わらない日常生活の質を維持することが目的となるため、日本人の栄養所要量が基準となる。
1.必要な情報とアセスメントの視点
適正エネルギー摂取量の決定に必要な情報、これまでの食習慣、食事療法に対する受け止め方などを把握し、患者が食生活を調整できるようなアプローチが必要となる。
1)適正エネルギー摂取量の決定...