論証:法人格否認の法理

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    資料の原本内容

    論証:法人格否認の法理
    定義 法人格否認の法理とは、独立の法人格をもっている会社においても、その形式的独立性を貫くことが正義衡平に反すると認められる場合に、特定の事案を解決する限りにおいて、法人に認められる属性を否定する法理をいう。 問題提起 では、いかなる場合に、法人格を否定することができるか。 理由 そもそも、会社法3条が会社に法人格を付与したのは、会社が社会的に重要な役割を担う団体であり、法人格を認めることが国民経済上有益であるという価値判断による。とすれば、法人格を認めることがかえって国民経済上不利益となる場合においては、権利の濫用としてこれを否定し、これと実質的に同一視できるその背後で支配する個人又は別法人の責任を追及しうるとすることが妥当である。 結論 そこで、①法人格が法律の適用を回避するために濫用される場合や、②法人格が全くの形骸にすぎないような場合には、当該事案に限り法人格を否定すべきである。 類型①の判断基準 ①法人格が法律の適用を回避するために濫用されていると認めるには、会社の背後にある者が会社を自己の意のままに道具として用いることのできる支配的地位にあること(支配要件)及び、債務の履行を免れるために新会社を設立する等会社の背後にある者が違法又は不当な目的の下に会社形態を利用していること(目的の要件)が必要である。 類型②の判断基準 ②法人格が形骸化していると認めるには、株式会社で実質株主が1人である会社につき、業務活動の混同の反復・継続、会社と社員の義務・財産の全般的継続的混同、明確な帳簿記載・会計区分の欠如、株主総会・取締役会の不開催等の強行法的組織規定の無視といった事実の有無を考慮する必要がある。
    類型②の形骸化事例の判断基準では、学説・判例共に明確要件がたてられていないため、慎重な判断を要する。

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