今実験は、水-ヘプタン溶液に対するエタノールの溶解度を測定し、三液から成る溶液の組成を三角図に示すことを目的とする。
水とヘプタンは、表面張力の違いから、混ざり合うことができないため、混合液は相を形成する。しかし、仲介的な役割を果たすエタノールを加えることによって、その溶液を一相にすることができる。エタノールは疎水基、親水基の両方を持つ、界面活性剤である。
以下にこの資料の概要を示す。
[緒言]
●相互溶解度とは
●相互溶解度曲線とは
●界面活性剤とは
[実験]
●実験操作
[結果と考察]
●水-エタノール-ヘプタンの容量分率、重量分率、モル分率を示す三角図の提示
●結果と文献値の誤差原因とその改善策に関する考察
●三角図の相互溶解度曲線に関する考察
[参考文献]
[緒言]
種類の異なる液体を混合するとき、どの混合比でも均一な溶液ができる場合と、混合比によっては分離した液相を生じる場合がある。このとき、前者には溶解度は存在しないが、後者には溶解度が存在する。溶解度とは、温度、圧力一定の元である溶質を溶媒に溶かすとき、溶質が溶ける最大限度の濃度のことである1)。
混合溶液が分離した液相を生じる(相分離を起こす)溶液であるとき、その混合比によっては、溶液は各分離相が完全に混ざり合った、均一な溶液になる。ひとつの分離相に他相の物質が溶解していると考えたとき、この各分離層における溶解度(一方の成分の濃度)を、他成分に対する相互溶解度という2)、3)。(図1)
図1.相互溶解度
相互溶解度の挙動、混合物の組成は、混合液が二成分系ならば、相互溶解度曲線(図2)、三相系ならば三角図(図3)として示される。
図2の相互溶解度曲線は温度-混合液が単層になったときの成分A(B)の濃度による相互溶解度を示しており、曲線の外側は一相、内側は二相となる。点a、bは、臨界溶液温度、溶液の組成を示している。
点aは、このグラフの極大値であり、この温度Taを臨界溶解...