子どもの問題行動の多様化や、女性の社会進出による多重役割の増加に伴うストレスなど、子育てに関する問題を中心として、父親の家庭でのかかわり方が根本的に問われている。父親の家族に与える影響については、少なくとも小学校低学年児童の共感性の発達に深く関わっており、父親の積極的・協力的な家庭関与に基づく夫婦の間では、家族としての共感的体験を重ねるこ
主文献 尾形和男:家族のなかにおける父親の役割、小児看護、32(10)、1297-1303、2009 の 要旨
子どもの問題行動の多様化や、女性の社会進出による多重役割の増加に伴うストレスなど、子育てに関する問題を中心として、父親の家庭でのかかわり方が根本的に問われている。父親の家族に与える影響については、少なくとも小学校低学年児童の共感性の発達に深く関わっており、父親の積極的・協力的な家庭関与に基づく夫婦の間では、家族としての共感的体験を重ねることになり、子供の共感性の発達に大きく影響をもたらす。また、父親の家庭関与について、夫婦間に共通した相互理解があってこそ、妻の精神的ストレスは軽減し、良好な夫婦関係が形成され、子どもの精神的発達が良好であることを示唆する。父親が積極的なかかわりを進め、母親のストレスが低い場合には、良好な夫婦関係と同時に、子どもが成長発達するための良好な環境を整えることができる。家族成員相互のコミュニケーションがとれた家庭環境は、個々の成員の精神的な安定度の高い家庭生活につながり、仕事や社会的活動への貢献に良い影響をもたらす。安定した家庭を形成するためには、安...