本レポートでは、憲法の最高法規性の意味について述べる。
日本国憲法は授権規範として他の法規範の上にあるのみにあらず、形式的効力基準として「硬性憲法」である。硬性憲法とは、成典憲法改正の場合に、特に慎重な改正手続きを必要とするものを言う。
また、日本国憲法は、一国の国法体系において最高の法規範であり、通常の法律に比べて最も強い形式的効力を持つ規範である。したがって、国法体系は、憲法を頂点として、ピラミッド型の統一的な法秩序を形成しており、これを「法秩序の階層構造」と呼んでいる。この憲法の最高法規性は、通常、形式的効力に着目していわれる。重要なのは、形式的意味の憲法の最高法規性の実質的根拠であるが、それは、憲法が「個人の尊厳」という基本価値を体現していることに求められる。
日本国憲法は第10章に「最高法規」と題して、3ヶ条の規定を設け、憲法の最高法規性を強調すると同時に、いろいろの角度から、憲法の運用を確実に確保していることを期している、
まず第1に、第98条1項は、「この国の憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、勅語および国務に関するその他の行為の全部ま...