平成22年4月17日
高森俊恵
脊椎疾患について
Ⅰ.脊椎について
脊柱は32~33個の椎体が上下に連結してできる骨格
頸椎 7対 前方への軽い凸弯(前弯)
胸椎 12対 後方へ凸弯(後弯)
腰椎 5対 (前弯)
仙椎 5対 (後弯)
尾椎 3~4対 (後弯)
※前弯症
脊柱が前から見て側方に弯曲し、捻転した状態
①姿勢の悪さによるもの (機能的側弯)
②椎骨・肋骨の先天異常 原因不明 乳幼児期・学童期・思春期に出現
(構築性側弯症)
後弯症
頸胸移行部に主たる後弯部があるものや脊椎全体に及ぶ後弯は神経筋疾患に多い。胸椎部や胸腰移行部に限局する後弯は老人に多い。
成長期の少年の胸椎領域に現れる後弯症をScheuermann病。
椎骨について
椎骨の前部を占め、円柱状で体重を支える…椎体
椎体から後方に向かって出るアーチ状…椎弓
椎弓から出る突起…1本の棘突起(項靭帯付着)・1対の横突起(交感神経を伴った椎骨動脈が通る)・1対の上・下関節突起
頸椎について
頸椎の機能
頭部の支持・安定性を高める
頸椎の間の関節により頭部の可動性を与える。
脊髄を入れて保護、椎骨動脈の通路
頸椎の病変…上肢の筋力低下、反射・知覚の変化、疼痛といった症状
・環椎 (第1頸椎)
椎体がなく輪状をしている。前弓(外側塊より前方にある弓状。前縦靭帯が付着)、後弓(外側塊より後方にある弓状。小後頭直筋の起始)、外側塊(左右の上の関節は後頭骨の後頭顆と関節…環椎後頭関節、下の関節面は第2頸椎の上関節面と関節…外側環軸関節、環椎横靭帯が付着)からなる。環椎の上に頭蓋骨が乗る。
・軸椎 (第2頸椎)
環椎が頭蓋と共に回旋する時の軸になっている。 特徴として、椎体から上方へ直立する歯突起を持つこと。
歯突起…上端に歯尖靭帯が付着。前面の関節面は環椎の歯尖起窩と関節する(正中環軸関節)、後面を環椎横靭帯が横切って通り歯突起を固定。
・隆椎 (第7頸椎)
棘突起は頸椎中で最も長く、二又になっていない。頭部を前屈した
際に容易に触診できる。
胸椎について
12個の胸椎が脊柱の胸部を構成する。
特徴として肋骨との関節面をもつ。椎体は下の胸椎になるほど大きさが増す。横突起は肋骨挙筋などの起始である。胸椎部の脊柱管はT4~9の間で狭くなる。
上肋骨窩・下肋骨窩…椎体の側面にあるくぼみ。胸椎の上下肋骨窩が肋骨頭と関節を作る。
横突肋骨窩…第1~10胸椎の横突起外側端にくぼみ。肋骨結節と関節をつくる。
・第1胸椎
第1肋骨のための完全な円形の関節面と第2肋骨のための卵形の下肋骨窩を持つ。
・第10胸椎
第10肋骨のためのほぼ完全な円形の関節面を持つ。横突肋骨窩はあるが、下肋骨窩なない。
・第11・12胸椎
第11・12肋骨のための完全な円形の関節面を椎体と椎弓根の間に持つ。横突起は関節面がない。
腰椎について
他の椎骨より大きく、横突起がないことや肋骨関節面を持たないことで区別できる。第5腰椎では肋骨突起が太く、強力な腸腰靭帯が付着する。
仙骨について
仙椎とそれらの間に椎間円板と肋骨の退化したものが癒合して、仙骨を形成する。
仙骨底…仙骨上面、第1仙椎の椎体上面。
仙骨尖…仙骨の下端の小さな面で尾骨と接する。
前仙骨孔…仙椎前面の4対の孔。仙骨神経前枝がでる。
横線…左右の前仙骨孔結んでる4本の線。仙椎椎体の癒合線。
正中仙骨稜…仙椎の棘突起にあたる。
中間仙骨稜…仙椎の関節突起。上方への延長上に仙骨の上関節突起がある。
外側仙骨稜…後仙骨孔の左右外側にある波状のたかまり、仙椎横突起にあたる。
後仙骨稜…仙骨後面にみられる左右4対の孔。仙骨神経後枝がでる。
仙骨管…仙骨の中を走る脊柱管の一部。脊柱管の最下部に相当する。
仙骨裂孔…仙骨後面で正中仙骨稜の下端向かって深く切り込んだ裂孔。仙骨管の下口にあたる。
耳状面…仙骨の両側にある耳介状の粗い関節面、腸骨の耳介面と仙腸関節を形成する。
尾骨について
3~4個の尾椎をあわせて尾骨。萎縮した痕跡的な椎骨で第1尾椎はその上面で仙骨尖と関節する。(線維軟骨結合)
骨盤について
仙骨・尾骨および左右の管骨から形成。上部を大骨盤、下部を小骨盤に分ける。岬角から弓状線にそって恥骨結合にいたる分界線。小骨盤で囲まれた内腔を骨盤腔、骨盤内臓器を入れる。
骨盤上口…小骨盤上方への開口部で分界線によって縁取られる。
骨盤下口…小骨盤の底面、尾骨尖端、恥骨弓、坐骨結節を結んだ不規則な線で囲まれる。
恥骨下角…男性 角度が鋭い角度
女性 角度が鈍角
男女差について
骨盤 男性 女性 骨盤全体 弱い 頑強 骨盤上口 ハート型 横楕円形 骨盤下口 狭い 広い 骨盤腔 高く狭い 低く広い バケツ状 タライ状 仙骨幅 狭く長い 広く短い 恥骨下角 60~70° 80~90° 恥骨角 恥骨弓 恥骨結合の高さ 高い 低い