9.11を一つのターニングポイントとして、国際連合は「新たな脅威」に対して、どのような役割をもつことができるか、ということが課題となってきた。国連憲章などによる個別自衛権は、必ずしも非国家主体などの脅威を想定して策定されたものではない。9.11を発端としたアフガニスタン侵攻において、米国は非国家主体であるテロリストによる攻撃を「自衛権の範囲」として捉えていた。国際連合における集団的安全保障体制は、このような非国家主体である対象にとって、どのような役割をもつことができるのだろうか。また同時に、ドキュメンタリー「LooseChange」を踏まえたうえで、平和への脅威を行う大国に対して、どのような役割を担うべきかを論じる。
9.11を一つのターニングポイントとして、国際連合は「新たな脅威」に対して、どのような役割をもつことができるか、ということが課題となってきた。国連憲章などによる個別自衛権は、必ずしも非国家主体などの脅威を想定して策定されたものではない。9.11を発端としたアフガニスタン侵攻において、米国は非国家主体であるテロリストによる攻撃を「自衛権の範囲」として捉えていた。国際連合における集団的安全保障体制は、このような非国家主体である対象にとって、どのような役割をもつことができるのだろうか。また同時に、ドキュメンタリー「LooseChange」を踏まえたうえで、平和への脅威を行う大国に対して、どのような役割を担うべきかを論じる。
国際連合による集団的安全保障体制について、まず述べたいのはこの集団的安全保障体制がどのようなものであるか、ということである。
集団安全保障の規定は、国連憲章の第7章によって設定されている。まず、加盟各国は国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない(国連憲章2条3項)。そして実際には、安全保障理事会が平和への脅威、...