「中学・高校における生徒指導の原理は何か、また、その際に留意しなければならないことは何か、説明してください。」
1965(昭和40)年に文部省によって発刊された『生徒指導の手びき』は、それまでさまざまに解釈されてきた生徒指導の概念を統一し、一定の方向性を示した。生徒指導の基礎となる人間観について、「人間の尊厳という考え方に基づき、一人一人の生徒を常に目的自身として扱うことを基本とする。これは、内在的な価値をもった個々の生徒の自己実現を助ける過程であり、人間性の最上の発達を目的とするものである」と述べている。そして、生徒指導の原理として、以下の4点をあげている。それは、①自己指導の助成のための方法原理、②集団指導の方法原理、③援助・指導の仕方に関する原理、④組織運営の原理、である。
①自己指導の助成のための方法原理においては、自発性・自律性・自主性の促進があげられる。欲求や情緒を直接的な行動につなげる自発性、目的に沿って行動を規制し節度あるものにする自律性、人間関係において相互に権利の主張と義務の遂行を可能にする自主性である。
②集団指導の方法原理においては、学級や友人関係といった集団に...