今回は、生涯学習社会における社会教育施設の役割についてまとめる。まず初めに、社会教育施設を語る前に、生涯教育について述べる。現在の科学技術の進歩に伴い産業が発展し、社会化が進展するとともに、生活は便利さを増しているが、私たちは今、それら近代化の宿命としての個人の孤立化の問題状況に悩んでいる。私自身、この講義を通して日本はまだまだ他国に比べると孤立化が高いのではないかと考えている。商品経済、資本主義システムの浸透によって、個人を縛る古い共同体、古い地域社会は崩壊し、自由に個性を出せる時代になった様に思われるが、結果として生み出された社会的個人と私的個人分離の分離は人間本来の生存に不可欠な共同性そのものをも破壊してきただろう。世界的に進展するこのような状況の下で、生涯教育は語られ始めた。
次に社会教育施設の例として公民館を挙げる。私は今の世の中だからこそ公民館だと考えている。日本において、特に1960年代の高度経済成長期以降、産業構造の変化に伴い地域社会や生活構造の変化が急激に展開し、消費者問題、教育問題、高齢者問題や、急激な技術成長への適応など労働や生活のさまざまな場面で矛盾が生じてきて...