1、初期社会科がめざしたねらいと指導法の特徴について、今日の初等社会科のあり方と課題に関連して論じなさい。
2、初等社会科が育むべき学力の特徴について、学習形態および「総合的な学習の時間」と体験学習に関連して論じなさい。
(1) 戦前の社会情勢を背景に歪曲させられた公民科は、戦後、修身を統合した教科である社会科へと姿を変えた。初期社会科とよばれるその教科は学校教育の中心とされ、総合的で広領域な教科とされた。
J・デューイに代表される経験主義教育論が初期社会科に大きな影響を与えた。公民科教育は社会共同生活のよき一員として欠くことのできない性格を育てると同時に、その生活に必要な知識や能力を養ってゆくことを目指している。そのような能力はただ言葉で学ばせるだけでは十分な効果を期待することはできない。「行ふことで学ばせる」ということこそ、本当に身に付いた知識を学ぶ原則である。したがって、知識を学ばせるうえでも、子どもたちの具体的な生活の場面-社会生活で生きた生活を指導してゆかなくてはならない。
その点から、初期社会科では子どもたちは自他の生活の相互依存の関係を理解し、自分たちの生活の問題を解決することで生活をよりよいものにしようとするものであった。この学習法で解決する問題は子どもの身近にあるものに限定されるゆえに、科学的認識の育成は不可能であった。このことから基礎学力の低下を招くと批判され、1955年の学...