28年3月末までの設題
1、いわゆる新しい人権について
新しい人権とは、憲法上明文で規定されていないが、解釈上保障されるにいたった人権のことである。日本国憲法は、人権を14条以下で列挙した個別的な人権規定に限定したのではなく、時代の変化に応じて生ずる個人の新しい必要・要求が具体的人権として個別化されることを認めていると考えるのである。人権がそこに列挙された個別人権に限定されると解せば、新しい人権を認めるためには、憲法改正の手続きを経る必要がある。しかし、日本国憲法の改正は極めて重い手続きであるところ、時代の要請に対応するための柔軟性に欠ける。そこで、憲法の改正ではなく、解釈を通じて柔軟に対応する可能性を残すべきだという考慮から、解釈を通じての新しい人権の創設を認める考えが支配的となっている。その根拠が13条の幸福追求権である。
幸福追求権は、個別の人権を基礎づけている根拠規定であり、その意味で新しい人権を生み出す根拠ともなるが、個別の人権そのものではないから、権利主張の直接の根拠としても直ちには認められない可能性が高い。したがって、新しい人権を主張する場合には、幸福追求権を究極的な根拠としながらも、個別...