ペスタロッチーの教育学(直観の原理など)について考察せよ。
ペスタロッチーの父ヨハン・バプテスト・ペスタロッチーは彼が5歳の時に死去した。それからは母親のスザンナと家政婦バーベリーによって育てられた。スザンナは全身全霊の愛を以て自らの生涯を三人の子どもの教育に注ぎ,バーベリーもまた,子どもたちの教育に献身すると共に貧しかった家計を支えるため節約に奔走した。このように,幼年期を女性によって育てられたということは,後年のペスタロッチーの教育学における女性の重要性を説いたことに影響していると考えられる。ペスタロッチーの作品「隠者の夕暮れ」(1780年),「リーンハルトとゲルトルート」(1781年)などは有名である。彼は,ルソーと同様に,子どもには将来発展する素質が備わっており,この素質が子どもの内から発展するように援助するのが教育と考えている。「子どもは生まれながらには未だ動物的であるにすぎず,この動物的衝動を根絶することが教育なのである」と考える古い教育観に彼は真っ向から反対する。真への認識,美の感情,善の力,これらは全て子どもが生まれながらにして有しているものであり,教育者は子どもの内...