「50年に及ぶ戦後の同和教育史を概括し、同和(人権)教育の意義と学校における同和(人権)教育実践のあり方を具体的に論述すること。」
同和教育とは、「日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分階層構造に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的・社会的・文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なおいちじるしく基本的人権を侵害され、とくに、近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保障されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題である」と同和対策審議会は定義している。この同和問題を考える上で最も重要となるのが、同和とは日本史の上で特別な歴史ではないと言うことである。日本史では、さかのぼること1世紀頃、小国家ができ社会も隷属的な関係ができる。そして、時代の流れと共に、治安維持などを目的とした身分制度ができたのである。江戸時代には、幕府が身分制度の強化によって政治の安定を図ろうとするにつれて、民衆は自由に対する願望が高まった。明治時代に入り平民は苗字をもつようになるが、穢多・俳人には許されず、また結婚に関しても特別扱いされたことから、多くの...