哲学概論Ⅱ
ポイント
ハイデッガーにおける「時間」と「存在」の意味を把握すること。
ハイデッガーは人間存在の理解(解釈)を基礎とする存在論を唱える。
キーワード
生の哲学、時間、現存在、ディルタイ
ハイデッガーの「現存在」の特質を説明するにあたり、まず初めにディルタイの「生の哲学」の説明から入る。というのは、ディルタイの主張する生の「時間性(歴史性)」がハイデッガーの哲学に受け継がれていったためである。ディルタイ以前の哲学者は、人間を捉える際に、神、すなわちキリスト教を媒介にしたり、ルネサンス以後は、神ではなく、知識(論理)を通したりして捉えていた。一方で、ディルタイの「生の哲学」は、これらのような捉え方とは異なり、人間を人間として直接に把握するという捉え方であった。ディルタイは、人間の存在は歴史を通じて把握され、生そのものの歴史から生を追体験することで、人間が人間を把握することができると説いたのである。
ハイデッガーは「人間とは何か」という問いへのディルタイの姿勢を引き継ぎ、彼自身の「現存在」という概念を生みだしたのである。
ハイデッガーがまず問題にしたのは、「存在と...