連続説とは、戦前・戦中の日本資本主義と戦後の日本資本主義は連続的に発展し、戦後改革は連続的発展の契機に過ぎないという説である。これに対し、断絶説とは、日本の敗戦により戦前・戦中の日本資本主義は崩壊し、戦後改革により、全く異質の構造をもつ戦後日本資本主義が再編成されたとする説である。
まず、戦時統制から連続性と断絶性についてみていく。
戦前、日本は繊維産業を主とした軽工業中心の産業構造だった。しかし、戦時統制による軍需生産や陸軍の生産力拡充計画等によって、重化学工業を中心とした生産と設備増設が行われた。この設備と技術、技術者、労働者が残っていたことが、戦後の経済復興において重化学工業が順調に成長したことの理由の1つとなっている。加えて、戦後も戦時統制と同じように、基軸産業(石炭・鉄鋼)に資材・資金を超重点的に投入するという国家主導の経済政策である斜傾生産方式が採用されていた。このように、戦前からの連続性が認められる。しかし、戦後に統制経済から市場経済へ移行し、経済の民主化が図られている点については断絶性が認められる。
次に戦後の三大経済改革である労働組合の結成奨励、農地改革、...