哲学概論(科目コード0531)分冊2
〈課題〉
ハイデッガーにおける「現存在」の特質について説明しなさい。
〈ポイント〉
1. ハイデッガーにおける「時間」と「存在」の意味を把握すること。
2. ハイデッガーは人間存在の理解(解釈)を基礎とする存在論を唱える。
〈キーワード〉
「生の哲学」「時間」「現存在」「ディルタイ」
丸写しはせず、あくまでも参考レポートとしてご利用下さい。
ハイデッカーの哲学に対する中心問題は、終始一貫して存在に対する問いであった。それは大雑把に言い換えれば「ありとしあらゆるもの」に対する分析、存在一般の意味の究明である。
ハイデッガーによる「存在」を語る上で外せない人物と言えば、師であるフッサールと、生の哲学者として知られるディルタイである。フッサールは物の認識を定義し、彼の唱えた現象学に共鳴したハイデッガーは、彼の助手を務めることになる。ディルタイは、フッサールの「厳密科学としての哲学」に対し「世界観の哲学」を固持し苦闘した人である。その業績を大きく3つに分けて挙げると、1.精神科学の理論及びそれの自然科学からの限定づけ。2.人間、社会及び国家の諸科学の歴史に関する研究。3.全体的具体的な人間を描き得るような心理学を得んとする努力、というものである。
ハイデッガーは「存在するもの」を「存在者」と呼んだ。存在者とはモノであり動植物であり、さらには現象や関係なども含まれる。もちろんその中には人間も含まれるわけであるが、彼はとくに人間を「現存在」と名づけた。そしてまた、ただ目に映っているだけの存在を「事物存在」、なにかの目的の為に使...