「仮名づかい」についてのべなさい。
仮名づかいとは、仮名の使い方のことである。これには、二つの意味がある。一つめは、同じ語に対して複数の仮名表記の方法がある場合にどちらを使うべきかという規範を示す。特に同じ韻に対して複数の仮名を使い分けなければならない場合に仮名づかいが問題となる。二うめは、規範とは関係なく実態として仮名がどう使われていたかを指すこともある。このような二つの意味をもつ仮名づかいの、同じ語に対して複数の仮名表記がある場合にどちらを使うべきかに焦点をあてる。また、時間の経過のなかでかたちを変えていった仮名づかいとその問題点を考える。
定家仮名づかいは、鎌倉時代から室町・江戸時代にかけて、歌道での下官集のなかで「を・お」「え・へ・ゑ」「ひ・ゐ・い」の三種八文字の仮名について「をみなへし」「おく山」「しろたへ」「すゑ」などと、それぞれに用いるべき語例を挙げ、区別するべきと説いた。
国語学会編『国語学大辞典』には、「お」「を」の使い分けについて次のように記述している。
このうち、「お」「を」の二字の使い分けは、当時同音になっていた「お」と「を」の音については、高いアクセン...