『地域社会の都市化について説明し、それを踏まえて子どもの「人と関わる力の育成」に関する保育施設の役割を述べよ。』
近年、地域社会の都市化により子どもの生活環境や保育現場のあり方が変容してきている。また現代では、不登校、引きこもり、いじめ、コミュニケーション能力の低下などが問題視されてきている。この問題の根幹に、子どもの「人と関わる力」の低下があると思われる。以下、地域社会の都市化について説明し、それを踏まえたうえで、子どもの「人と関わる力」に関する保育施設の役割、保育者の役割について具体的に述べたい。
まず、都市化について述べたい。一般に都市化という場合、農地や漁場が潰廃し、工場が進出して市街地化し、村落社会が都市社会に変容することを指す。そこで農林漁業が衰退し、製造業・鉱工業、商業・サービス業といった第二次、第三次産業が優位を占める。この産業構造の変化は、わが国のGDP(国内総生産)を大きく伸ばし、物質的豊かさをもたらした。しかし地方では人口が都市に集中し、快適な生活の限界を越えるほどの過密状況も引き起こされた。また日常生活の維持が困難となるほどの過疎現象を引き起こしていることも忘...