参考文献:『プレステップ宗教学』石井研士著,株式会社弘文堂,2014年
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祈りとは、人間が神や霊的なものと交流す
るために行う儀礼のひとつで、最も一般的普
遍的な宗教行為である。また、特に宗教的だ
と意識することなくごく一般的普遍的に行わ
れる宗教行為でもあるため、個人的なものか
ら教団によって定式化されたものまで、多様
な 形 態 が 存 在 す る 。
代表的な礼拝形式として、例えばイスラム
教における礼拝形式「サラート」がある。ム
スリムには守るべき5つの義務(五行)、信仰
告白(シャハーダ)、巡礼(ハッジュ)、喜捨
(ザカート)、断食(サウム)、そして礼拝(サ
ラート)があり、中でも礼拝は日々行うべき
儀礼として重要なものである。礼拝は毎日、
体を清浄にした後、正しくメッカの方角に向
かって、決められた様式に従い1日に5回行
われる。日の出前の礼拝をファジュル、正午
過ぎの礼拝をズフル、遅い午後の礼拝をアス
ル、日没後の礼拝をマグリブ、そして夜の就
寝前の礼拝をイシャーウという。具体的な方
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法としては、まずモスクに入るときに清めの
作法を行い、そ...