講評:問3に関して、欧州連合の歴史を見ると、ヨーロッパはどのように統合してきたということができるでしょうか。この点を確認すると欧州連合の特徴を捉えることができます。問4に関して、環境問題をめぐる国際協力がなぜ困難なのか、考えてみましょう。
<問 3>EU(欧州連合)の統合過程とその拡大について述べなさい。
第二次世界大戦末期、欧州の結束は早急な課題の一つであった。米英間の「大西洋憲章」からソ連を加えた「連合
国宣言」と、戦後構想が模索されが、実際には拡張主義を優先するソ連や米による経済的・軍事的影響、ドイツ問
題もあり、復興問題から欧州の地位回復の道程は厳しかった。欧州連合統合のきっかけは 1952 年の欧州石炭鉄鋼
共同体(ECSC)の発足からである。
ECSCは石炭・鉄鋼資源を超国家的な組織の下での共同管理を主たる目的とし、当該資源を原因としていたドイ
ツ・フランスの長年の対立解消にも寄与した。1950 年のシューマン宣言の賛同諸国を原加盟国として、 ECSCに
は西独・仏の他、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの6か国が加盟してスタートし、1958 年には貿
易自由化を目的に欧州経済共同体(EE C)、原子力の平和的運用を目的に欧州原子力共同体(EURATOM)も発足、
これら3つの共同体を深化、発展させるべく執行機関を融合し、1967 年、欧州共同体(EC)が発足した。1973 年
には ECにイギ...