佛教大学の教育原論1(Z1102)、第1設題のリポートです。
2017年4月にA判定をいただいております。
ソクラテスの教育観に注意して彼の教育学的意義について述べよ。
まずソクラテスというのは、一体どういった人物であったのだろうか。彼は紀元前5世紀にアテネで生まれたと言われている、古代ギリシャにおける哲学者である。研究熱心であった彼は、自然研究の分野にかなり精通していたと言われている。そんな彼であるが、古代ギリシャにおける戦争に数回駆り出された経験を持つ。哲学に非常に熱心であるソクラテスが行き着いた考え方は、「無知の知」というものであった。それは、人間は元来無知である存在であることを自覚しなければならないといた考え方で、彼は対話的問答を用いて他の人に対して自分が無知であることを悟るようにさせようとした。しかしそういった考え方が受け入れられることはなく、むしろ他の者に対して悪い影響を与えるとみなされ、死刑の宣告を受けてしまうのである。ソクラテスの弟子たちは彼に対して亡命するように促したのであったが、彼は逃げることなく刑死することとなった。彼が遺した「悪法も法なり」という有名な言葉は、今も語り継がれている。
当時のアテネでは、ソフィストと呼ばれる教師としての職業を生業とする人がいて、市民に対...