中央大学通信教育2018年度
評価は両方Bになります。
第3課題につき,表現の自由の価値についても言及すると良いと思います。
第2課題
1, 司法権の限界とは
(1)法律上の争訟
憲法76条1項において,司法権は裁判所に属する旨規定されている。司法権とは,具体
的な争訟に対して法を適用することで,終局的に解決する国家の作用を意味する。そこで,
司法判断の対象となる法律上の争訟とは,「当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の
存否に関する紛争であってかつ,それが法令の適用により終局的に解決することができる
もの」に限られているのである(最判昭和56年4月7日民集35・3・443)。
(2)司法権の限界の類型
もっとも,司法権は法律上の争訟のすべてに及ぶわけではない。争訟の対象となっている
事柄の性質上,裁判所の審査に服するのが適当でないと認められるものを,「司法権の限界」
という。憲法の明文上,司法権の限界が認められているものがある。憲法55条の議員資格
の争訟の規定,憲法64条の裁判官の訴追の裁判のための弾劾裁判所の規定がそれである。
これらは,国会議員たる地位,裁判官たる地位について争うという,具体的な法律関係に関
する争訟であるが,裁判所の審査には服さない。ま...