問題
次の概念について、それぞれ300字程度で説明しなさい。
(1)特定物ドグマ
(2)債務なき責任
(3)弁済の提供
(4)間接強制
(5)債権者代位権の濫用
(1)特定物ドグマ
特定物売買においては、瑕疵ある物の給付も完全な履行であるという考え方を特定物ドグマという。特定物債務における弁済者は、債権発生後に特定物の状態が変化した場合、「その引き渡しをすべき時の現状」でその物を引き渡さなければならない(民483条)。債権の目的が特定物の引渡しの場合、当事者がその物の個性に着目しているのであるから仮に履行時までにその物に変化が生じたとしても、その物を履行時の現状で引渡せば履行義務を果たしたこととなり、債権者は責任を負う必要はなくなる。このような考え方は、特定物ドグマに縛られた解釈が前提となっており、近時では批判が強い。
(2)債務なき責任
債務とは、債務者が債権者の利益を実現するためにその者に対して、一定の給付をしなければならない義務のことをいう。責任とは、債権者の一般財産が債権の力によって把握されていることを指して用いられる。たとえば、不執行の特約を結んだ場合が債務な...