本問題では、被害者を強姦した上で殺害した2つのXの行為の関係性と「死者の占有」が認められるかが問題になる。
強姦罪(177条)と殺人罪(199条)とが成立する見解が通説なっており、177条と199条を適用する。一方で、強姦致死罪(181条2項)のみが成立するという見解があるが、殺人を犯したにもかかわらず「死刑」を免れてしまうという批判がある。強姦致死罪と殺人罪が成立する(最判昭和31年10月25日刑集10巻10号1455頁)見解があるが、この見解はそれぞれの罪でニ人殺害したことになってしまうという批判がある。したがって、強姦罪(177条)と殺人罪(199条)が成立するべきである。
さて本件における最大の論点である死者の占有は窃盗罪(235条)に関連するものである。その窃盗罪の実行行為は「窃取」である。窃取とは、他人の占有する財物を、その占有者の意思に反して自己又は第三者の占有下に移転させる行為のことである。そして、窃盗罪における占有が認められるためには、➀占有の事実(客観的に見て事実上支配している状態)と②占有の意思が必要になる。この点、死者には➀の占有の事実及び②占有の意思を認め...