Z1001日本国憲法(第1設題)佛教大学通信教育課程

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    「法の下の平等について」
     人間平等の理念は、個人の尊厳の原理の当然のあらわれであるが、近代的な諸要因、とくに人間生来の平等を主張する近代的自然法思想、神の前におけるすべての人間の平等を説く近代的宗教思想、平等価値の実現を目標とする近代民主主義などを背後にうけて、法の下の平等は近代憲法に受け入れられている。それは、近代憲法の不可欠の部分といってもよい。もちろん旧来の慣行や偏見は平等権の実現の障害となることが多いが、近代は、平等権の確保のために歩みをすすめてきた。明治憲法も平等権を無視しておらず、公務に就任する資格の平等を明示していた(十九条)。しかし、そこでは平等原則は必ずしも十分に実現されず、たとえば華族の特権、男女の不平等が目立った。日本国憲法では、十四条によって一般原則として徹底した法の下の平等を保障し、さらにいくつかの平等規定をおいている。(二四条・二六条・四四条)。ただ、近代憲法における平等権の保障は、法的取扱いにおいて差別しないという、いわば形式的な面におけるものであり、現代社会における貧富の差などにもとづく実質上の不平等の是正という社会国家の理念を含むものではないことは注...

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