<はじめに>
本レポートでは、課題①1970年代以降の日本の教育改革について「行財政改革と教育改革」、「初等・中等教育の充実と改革」、「学校制度の改革」、「地方分権と学校の自主性・自律性」の4つの観点からそれぞれ簡潔にまとめる。課題②それを踏まえて今日の教育改革について著者の見解を述べる。
<課題①>
まず,今日の教育改革を「行財政改革と教育改革」の観点から考察する。1973年の石油ショックにより欧米諸国の景気は低迷し、それまでの「福祉国家論」に代わり、NPM(New Public Management)の考え方による「小さな国家」への移行が求められるようになった。この考え方はイギリスのサッチャー元首相により教育の分野にも導入され、日本においては行政改革、地方分権化の流れに対応し、1998年の中教審答申「今後の地方教育行政の在り方について」を契機に教育改革が推進される。その後、県費負担教職員の給与等の国の補助率の引き下げや教育基本法の全面改正,学校教育法等の教育三法の改正などが行われた。
次に、「初等・中等教育の充実と改革」の観点から考察する。1977年の学習指導要領改訂以降、ゆ...