1.労組法上の「労働者」、「使用者」について
(1)労組法上の「労働者」
労組法3条では「労働者」とは「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と定義される。労基法9条と異なり「使用」の要件がないため、現在使用されていない失業者などもこの労働者にあたる点、賃金についても「これに準ずる」とされ、要件が拡大されている。
労組法上の労働者に該当すると、その労働者が主体となって労働組合を結成する事が認められる(労組法2条本文)。
(2)労組法上の「使用者」
労組法上の「使用者」とは、第一次的には労働契約を締結している相手方である、しかし、労組法の目的が使用者との団体交渉による労働条件対等決定にある事からすると、団体交渉によって労働条件を改善できる地位にあるものは労組法上の「使用者」となりうると考えるべきである。
具体的には、労働条件等について「現実的かつ具体的に支配、決定する事ができる地位にある者」はその限りにおいて労組法上の「使用者」にあたる(最判平成7年2月28日)。また、近い過去に使用者であった者のように現在労働契約関係にない者でも、解雇など...