慶應通信 社会学特殊レポート「社会的不平等の形成メカニズムについて」

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    社会的不平等の形成メカニズムについて

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    【問1】

    社会的不平等の形成メカニズム
     本レポートでは、日本における社会的不平等の形成メカニズムについて論じる。

     個人の所得を大きく左右するものは職業であり、個人の職業を大きく左右するものは学歴である。学歴は社会階層所属を決定する最大の要因であり、学歴さえあれば低階層出身でも親より高い階層へ移動できるように思われる。しかし、実際の社会においては、教育機会には出身階層による大きな不平等が存在し、出身階層が学歴の違いを通じて所属階層を決定する傾向にあり、社会階層の世代を超えた固定化が進んでいる。

     教育機会の不平等を形成している要因の一つとして、経済的要因がある。多くの先進国で義務教育は無償であり、高等教育も国公立ならば無償な国もある。大学に進学すれば、高卒との賃金格差があることから、卒業後に長期間、継続的に就労して教育コストの回収は可能だ。しかし貧困家庭に生まれた場合、高等教育への進学は、在学期間に就労していた場合得られるはずの利得を失い、たとえ学費が無償だとしても学生の生活費、実家を出る場合は仕送り等が必要となり、短期的にはマイナスである。こうした家に生まれた人々は、家計を助...

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