【日大通信】国文学概論(M20200)課題1 2019~2022年度
「国文学概論」分冊1の合格リポートでございます。S評価を頂きました。
課題:平安時代を中心に物語文学の流れを概観する中か
ら、その主人公像(女性主人公を柱に考えることもで
きる)の変遷を踏まえて、 「文学」とは何かについて
考察しなさい。
少しでも皆様のお役に立てましたら幸いです。
レポート執筆がんばって下さいね!
十世紀から十一世紀にかけて咲き誇った王朝文化には、宮廷風に洗練された文化として
の様々な恋愛の形が存在した。平安朝を中心とした恋愛生活に於いて「色好み」とは、文
明的価値であり、美徳であり、教養人の資格であった。色好みとは、多くの恋や結婚に情
熱を傾け、音楽や芸能に優れた美男子を指す。
色好みが初めて現れる『竹取物語』では、かぐや姫に求婚する五人の主人公を「色好み
といはるるかぎり五人、思ひやむ時なく、夜昼来けり」と述べる。彼らは、笛を吹き、歌
を歌い、扇で手拍子を取って恋心を表明する。
平安朝文明にて、恋愛は美的価値や風雅に結び付く為に、皇子や最高官僚でもある五人の
恋心の深さは美徳として描かれ、色好みにおける恋は社交的に優雅なものとして発生した
。
『伊勢物語』の主人公・在原業平が生涯に交わった女性は三七三三人。色好みの資格が、
多種多様に恋の対象を拡げ、バラエティを愉しみ味わうところにあると示している。対象
が多くなると多角的関係が発生するが、生の本能的な情念を遊戯的なフィクションに変化
させるのも文明の特徴であり、色好みは動物的な情欲の演技化、虚構化と言える。平安文
明朝...