中央大学通信教育課程 2022年度海商法レポート第1課題荷送人が運送人
課題1
運送品が危険物である場合の荷送人の運送品に対する通知義務は海上物品運送にも適用されるが、①それが平成30年の商法改正で明文化された趣旨、②危険物の定義、③通知義務違反の責任について論じなさい。
はじめに
平成30年の商法改正により、危険物の荷送人が運送人に対し危険物が含まれていることを通知する義務規定が新設され、荷送人の責任が明確化された。これは、大型船の火災をはじめ、コンテナ船の火災が増加し、コンテナ船の貨物の発火に起因する事故も多いため、荷送人の適切な通知義務を定めたものである。
1 平成30年の商法改正で明文化された趣旨
平成30年5月18日、「商法及び国際海上物品運送法の一部を改正する法律」が国会を通過し、成立した。この改正で最も議論されたテーマが、「荷送人の運送人に対する危険物通知義務」の問題である。改正前の商法では、運送に際し、荷送人が運送人に対し運送品に危険物が含まれることを通知する義務に関する規定はなかった。しかし、運送品に危険物が含まれていると、運送に携わる人々の生命身体及び積み合わせ貨物に損害を発生させる可能性があるとともに、いったん事故が発生すれ...