倫理学のレポートで、菜食主義理論に反論する立場で論じています。
一部、卒論の参考になるかもしれません。
字数は全てで2806字程度です。
はじめに
アメリカの倫理学者ジェームズ・レイチェルズは『倫理学に答えはあるか』(2011)のなかで、人間が動物の肉を食する慣行は道徳的に正当化しがたいと主張している。彼の議論は大きく二段階に分かれている。第一段階では、動物に苦痛を与える行為がなぜ誤りであるかを説明するために、人間にとっての帰結を重視する間接的配慮と、動物自身の経験に直接訴える配慮という二つの観点を提示する。第二段階では、仮に動物を苦しめずに肉を生産できる場合でも、それら動物が生命権を有するなら殺害は不当であり、したがって肉食は依然として非道徳的だと結論づける。本稿では、まずレイチェルズの二つの議論を整理し、続いてそれらが肉食一...