佛教大学 S0103 教育史 第二設題レポート です。
【設題】明治5年「学制」について述べよ。
B判定。ご参考にどうぞ。
【設題】明治5年「学制」について述べよ。
明治五年「学制」について
1.はじめに――近代国家形成と教育改革の意義
明治五年(1872年)に公布された「学制」は、日本の近代教育制度の出発点として、教育史上きわめて重要な意味を持つ法令である。江戸幕府の崩壊とともに封建的身分秩序が解体し、新政府は「富国強兵」「殖産興業」「文明開化」を国是として、近代国家建設を進めていた。近代国家の成立には、近代的な統治機構とともに、国民的教養を備えた人材の育成が不可欠であり、教育制度の整備はその中核的課題であった。明治政府は、欧米の制度を範として全国民に教育を行き渡らせることを目指し、近代学校制度の原点となる「学制」を公布した。本稿では、「学制」制定の背景、理念、制度的特徴、実施上の困難、そして日本教育史におけるその意義について論じる。
2.「学制」発布の背景――幕末から明治初期の社会変動
「学制」の成立は、幕末から明治初期にかけての国内外の急激な社会変化と密接に結びついている。幕末期、日本はペリー来航以降、西欧列強との不平等条約締結により、国際社会への急速な開国を迫られた。この時期、欧米列強の科学...