佛教大学通信教育課程 教育史 S0103 第二設題レポートです。
【設題】 『ルソーの教育思想について述べよ』
2012年度 A判定 ご参考にどうぞ。
【設題】ルソーの教育思想について述べよ。
ルソーの教育思想―近代教育思想の源流としての意義―
はじめに
18世紀ヨーロッパの啓蒙期において、フランスの思想家ジャン=ジャック・ルソー(Jean-JacquesRousseau,1712–1778)は、教育思想の領域においても決定的な転換点をもたらした人物として位置づけられる。彼の著作『エミール、または教育について』(Émile,ouDel’éducation,1762)は、当時の社会通念や教育観を根底から批判し、「自然に従う教育」という革新的な理念を提示した。この著作は単なる教育論にとどまらず、人間観・社会観・国家観にわたる哲学的体系の一部として構想されており、後世の教育思想・教育実践に多大な影響を及ぼした。
本稿では、まずルソーの教育思想が形成された思想的背景を明らかにしたうえで、『エミール』における教育論の核心を分析する。次に、彼の「自然主義教育」「消極教育」「発達段階論」「自由と自律の教育」という主要概念を整理し、その思想が近代教育思想に果たした意義と限界を検討する。最後に、ペスタロッチ、フレーベル、デューイら後続の教育思...