イギリス文学、エドガー=アラン=ポーの短編小説2つ『黒猫』と、『早すぎた埋葬』を比較することによってホラーと、テラーの違いについてを論じています。出席0回で、A評価です。
はじめに
「horror」と「terror」は、ともに恐怖を表す言葉であるが、意味内容としては、正反対の恐れを指している。一般に「terror」は何か超越的な事象に対した時、崇高なものと関わり一種の高揚感を経験するもので、「horror」にはそういったものは無く、逆に激しい不快感や、嫌悪感、憎悪を経験するものである。このような「horror」と「terror」の相違点をさぐるため、まずは、「horror」と「terror」について説明し、その作品例として、私が読んだことのあるエドガー・アラン・ポーの2つの小説を提示した上で、相違点について語り考察していきたい。
「Horror」とは
激しい不快感、嫌悪感から、恐怖を感じ、自らの状態を感覚的にも、精神的にも、身体的にも、麻痺した瀕死あるいは仮死状態に追い込むものである。人間が恐怖を感じるものは往々にして、正体不明のもの、境界がわからないものであるため、「horror」では、『フランケンシュタイン』の人造人間や、『ドラキュル伯爵』などのようなヴァンパイア、幽霊等といったものがしばしば現れ、主人公を精神的にも肉体的にも追いつめていく。...