「キリスト教の展開、教父たちの活躍以降の動向」について
三一三年、コンスタンティヌス帝のミラノ勅令によって、多くの神学者が輩出して教議論が盛んになり、教会から使徒的信仰の代弁者と認められている教父たちが活躍した。
とくに、イエス・キリスト教の神性をめぐって、キリストは神に似ているが神ではない、とその神性を否定するアリウスと、キリストの神性を強調し、神とキリストのとの同一性を主張する教父アタナシウスとが対立した。しかし、三二五年のニカイア会議において、アタナシウス説が正統と認められ、三八一年のコンスタンティノポリス会議、四五一年のカルケドン会議を経て、「三位一体」の神観が確立された。
三位一体とは、創造主としての父なる神と、贖罪者キリストとして世に現れた子なる神と、信仰経験の上に顕示された聖霊なる神とが、唯一なる神の三つの主体として現われる、とするものである。
西方教会最大の教父であるアウグスティヌスは、『告白』『三位一体論』『神の国』などの多くの著作によって、教会のサクラメントは、神の恩恵にあずかるために有効である、という教会論を説いている。
十一世紀半ばごろから、教父時代に形成された...