事例研究は、実践現場での事例の記録を用いて、その事例経過、問題の質、援助目標、援助計画だけでなく援助方法や面接技術などについても受講生と共に検討でき、学習効果を上げるうえでとても適したものである。
この形態の場合、事例研究はより客観的な事例の理解という点で現在進行形の事例よりも援助終了のものが適切である。援助方法や援助計画を実施した結果をも考慮に入れて事例を考察することが望ましく、そのためには経過の全体を観察することが必要である。推測の基で行われる分析は現実の物とかなりのズレや偏りを作ることになりかねない。
事例研究による演習の利点は、現実味があり、臨場感をもって計画作りや援助を体験できることである。また実際の記録などを参考資料として用いることから、一連のプロセスの追体験もできる。さらに利用者本人や家族の関係、集団の力動、地域の人との相互作用を連続したものとしてとらえることで人の生活の営みを地域社会に拡大して広い視野に立ち、客観的に対策を考えることができる。そのうえ一連の過程の途中経過でその時点の問題点や課題の経緯をより理解できその後の見通しを結果と照らし合わせることができる。
事例研...